抜歯を避けるために乳歯の時期から治療をスタート。

永久歯が生え始める頃(目安は前歯)が矯正治療のスタートにもっとも適している時期です。歯科医院での検査であごの成長、あごの奥で眠る永久歯に問題があればそこで発見できます。

乳歯の時期から治療をスタート永久歯が生えそろう前、つまり乳歯の段階で検査や治療を始めると、この先の本格治療に向けて万全な準備ができます。永久歯が生えそろってから治療を始めると歯を動かすスペースを作るために抜歯が必要になることがあります。抜歯を避けるためには、自然にスペース作りの準備ができる乳歯段階での治療開始がベストというわけです。

「矯正治療は早い時期からがいい」といいますが、お子様によってその成長は様々、まずは検査で顎の大きさと永久歯の大きさのバランスを確認、まだ早すぎる場合は、お母様にスタートのタイミングの目安をお知らせします。どのタイミングかわからない、という親御さんの気になるところを解消します。

6~10歳(乳歯から永久歯に生え変わる頃)

お子さんに行う早期の治療のことをⅠ期治療といいます。

Ⅰ期治療についてⅠ期治療
Ⅰ期治療では、その成長過程という時期だからこそできる、従来の矯正治療(成人に行う普通の矯正治療)では治すことのできなかった「あごの拡大」をすることにより、この大元の原因を治す原因療法を行います。(対症療法より原因療法の方がいいのは明らかです。)このことにより、従来では矯正といえば抜歯をするという考概念がなくなり、抜歯矯正をする確率は大きく下がりました。また、あごの位置を治したり、顔貌の改善も期待できます。
※症例によっては固定式の矯正装置を使う時もあります。

●あごの環境を整える早期治療
永久歯が正しく生えそろうようにあらかじめ土台を整える早期治療があります。舌のくせを正す装置やあごを広げる装置を使って、あらかじめ「あごの環境」を整えておくのです。

噛み合わせが逆になっている歯を治す装置もあります。装置は、主に取り外しのできる矯正装置を使いますので、写真を撮るとき、音楽や国語の時間、食事時など必要に応じてお子さんご自身で取り外しができるのも大きなメリットであり特徴です。取り外しができるので、歯みがきも通常通りにできます。治療目標が達成できたら一度治療をストップし、永久歯が自然に生えそろうまで定期的な経過観察を行います。

ちなみに、永久歯が生える時期には歯と歯の間に隙間ができます。これはあごがきちんと成長している証拠なので安心してください。逆にぴったりときれいに歯が並んでいるようでは問題です。

●歯とあごを同時に治療
生えそろったばかりの永久歯と同時にあごの骨も成長しているため、歯並びとあごの骨の両面から矯正治療を進めていくことができます。すると抜歯せずに矯正できる可能性も高まります。

13歳~(永久歯にはえかわってから)

まずⅠ期治療を行い骨格を整えて、永久歯が生えたら、Ⅱ期治療を行います。
※I期治療で治療が終わる場合もありますし、Ⅱ期治療に移行が必要な場合もあり、お子様の成長、状態によって治療期間、治療方法は異なります。

永久歯が生えそろったら、矯正装置をつけて本格治療がスタートします。子供がぐんぐん成長する力を利用すればスピーディに矯正治療を進めることができます。「矯正治療は子供のうちに」といわれるのはこのためです。

Ⅱ期治療についてⅠ期治療
Ⅰ期治療で、骨格等を改善した後に、歯並びそのものや噛み合わせをⅡ期治療で治します。Ⅰ期治療が終わり、あご(骨格)の大きさや前後関係が良くなっても歯の並びそのものがでこぼこしていたり、歯が回転して生えていたり、上下の噛み合わせが良くなかったり、前歯の前突感が少しあったりした場合に、Ⅱ期治療を行います。

永久歯が生えそろう12~13才くらいから行います。装置は、主にワイヤーを使って治します。(Ⅰ期治療で、歯並びや噛み合わせも改善されればⅡ期治療は必要ない時もあります。)

●歯並びが悪いってどういうこと?
乳歯が生え始めて成長とともに歯が生えそろってきます。何の問題も無くキレイな歯並びになることが良いことですが、しかし悪い歯並びとは、どういうことでしょう。 歯の間に隙間が無い、歯並びのアーチがきれいであるなど、見た目の部分で判断も出来ますが、歯並びが悪くなると一口に言っても症状は様々です。キレイなアーチでも上下の歯がうまくかみ合わない、または出っ歯であるなど...。 しかし、子供の時というのは歯が生えるとともに、顎も成長していきますので、いずれ永久歯が生えることを考え、お口の中を整えてあげることが必要です。

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悪い歯並びの典型的なパターン

歯並びが悪いとされる症状を幾つか上げてみましょう。

歯がくい違って生えている:叢生(そうせい)不正咬合
「叢生」というのは前歯が互い違いにガタガタに並んでいたりする、いわゆる「歯の並びが悪い状態をいいます。これはあごの骨の大きさと歯の大きさのバランスが取れていないことにより起こることが多く、言い換えれば小さなあごと大きな歯の組み合わせによって起こるものです。

下の歯が前歯で深く隠れてしまう:過蓋咬合(かがいこうごう)不正咬合
奥歯で噛むと、前歯が深く噛み込み、下の前歯がほとんど見えなくなるくらい閉じてしまう状態です。これを放置しておくと、やがて下の前歯が上の前歯の裏側の歯肉に食い込むようになり、歯肉を傷めるだけでなく、上の前歯が押されて出っ歯になる可能性もあります。

前歯がかみ合わない:開咬(かいこう)不正咬合
これは奥歯をかみ合わせても、前歯がかみ合わない状態をいいます。症状により前歯のかみ合わせは数ミリから、中には1cmかみ合わない状態の人もいます。このような前歯がかみ合わない状態では、前歯でうまく食べ物がかみ切れなかったり、またおしゃべりをするときに特に「さしすせそ」などがうまく発音できないといった問題が起きます。原因としては、指しゃぶりや舌ベロを前に突き出すような癖が考えられます。子供の指しゃぶりに関しは、よくお母さんから「いつ頃までに止めさせるようにした方が良いですか」という質問をうけますが、一応、5才くらいが目安だと思います。子供が指しゃぶりはいけないことだということをよく理解し、自分から止めるように根気よく説明することが大事です。

下あごが前に出ている受け口:反対咬合(はんたいこうごう)不正咬合
「受け口」ともいわれ、下の歯あるいは下あごが前に出ていて、咬み合わせが逆になっている状態です。反対咬合の中には歯だけに問題があるタイプとあごの骨に問題があるタイプがあり、当然あごの骨に問題があるタイプの方が治療が難しいことが多く、また下あごは身長が伸びる時期に同じように伸びるため、身長が伸びる時期を控えている子供は年齢と共に反対咬合が悪化することがありますので、きちんと治療をすることが大切です。

上顎の前歯が出ている出っ歯:上顎前突(じょうがくぜんとつ)不正咬合
「出っ歯」の中には、文字通り上あごの前歯が前に飛び出ているタイプと、下あごが小さくて後ろに下がっていることにより「出っ歯」に見えるタイプがあります。そして実際には2番目のタイプすなわち上あごは正常であるのに下あごの成長が不十分で小さいために「出っ歯」に見えるタイプが多いようです。

口元が外に出て唇が閉じづらい・・・上下顎前突(じょうげがくぜんとつ)不正咬合
イーラインより口元が外に出ている状態です。この症状の方は、唇が閉じづらい状態であることが多く見受けられます。

歯の間に隙間ができているすきっ歯:正中離開(せいちゅうりかい)不正咬合
歯の間に隙間ができた状態です。常に息が抜ける事から、特にサ行やタ行の発音が不明瞭となることが多く、言葉が聞き取りにくいと言われて悩むお子さんも少なくありません。

前歯に下の歯がかぶさる:交叉咬合 (こうさこうごう)不正咬合
奥歯をかみ合わせると、普通は上の歯は外側に、下の歯は内側になります。ところが、交叉咬合ではこれが逆になり、左右に大きく崩れるところから、あごや顔が曲がったようになったりします。症状には片側だけがずれている場合と、両側がずれている場合があり、奥歯で物をかもうとしてもできなかったり、歯を食いしばったりができなくなったりします。幼児期の指しゃぶり、片側だけでかむ癖をつけていたり、頬杖をつく癖などが交叉咬合の原因となります。

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