OAM式インプラントの特徴
OAM式インプラント埋入法の技術的な特徴は、「骨を削るかわりに、骨をひろげる」ということ。そのため、骨の厚みがない方でも行えます。ほとんどドリルを使わず、10本以上の千枚通しの様な器具を使って、少しずつ手で穴を大きくしていく手術法です。
骨の少ない人にも可能なOAM式インプラント法
骨がすごくやせてしまった方にインプラントを埋め込むのは、通常は骨を作るための手術が必要となります。
骨芽細胞(骨を作る細胞)を集めて骨の量を増やす(GBR法)や、自分の骨をどこか他の場所(下顎の奥の方や、腰の骨)から採取してそれをインプラント埋入部位に移植したり(骨移植)、わざと骨を骨折させてそこに骨を増やすような処置(スプリットクレスト法)を施したり、骨をジャッキアップして増やしたり(イリザロフ法)、様々な手術が必要になってきます。ところが、OAM式インプラント法はそうした術前の処置は必要ありません。
人間の骨は、粘膜に比べれば硬い組織ですが、コンクリートと比べると、かなり柔軟かつ弾力性に富んでいます。治療は、はじめに鍼灸治療で用いるような細い針を用い、骨表面に1㎜にも満たない小さな穴を開け、その後、オーギュメータという特殊な装置を使って作った糸のような穴を少しづつ穴をひろげ、インプラントを埋める穴を作り、最後にインプラントを埋入します。独自の手術法により、骨の幅が1mmしかない患者さまでもインプラントが可能になるのです。
弾力性のある骨は、内側から押しひろげようとする力に反発し、インプラントをしっかりと締めつける特性をもっていますので、少々骨が柔らかくてもインプラント周囲の骨密度が高くなり、強力な固定力を得ることができます。
OAM式インプラントが向いていない人は?
OAM式インプラント埋入法は、骨が少なく治療が難しいケースでも、安全にオペをすることができる反面、オペの時間がかかってしまいます。骨のかたさ・量が充分にある場合は、歯科用ドリルを使った方が、遥かにオペの時間を短縮できるので体の負担を軽減に効果的だったり、骨の状態によっては他の手術方法の方が有効な場合があります。なかもずデンタルスタジオでは、知識、経験ともに豊富なドクターが適切な診断を行っています。
OAM式インプラントと従来のインプラント法との違い
●従来のインプラント:ドリルで骨に穴を開けて、そこにインプラントを埋め込む手術方法
欠点
怖がりの患者さまや骨がない患者さまには手術ができない
●OAM式インプラント:ほとんどドリルなしでインプラントを埋め込むことができる手術方法
(厳密には、ドリルを使う量が98%削減)
欠点
時間が従来の方法より少しかかる
OAM式インプラント法は、骨の幅を広げる効果が大きく、従来のような骨を増やす特殊な手術(GBR法、骨移植、スプリットクレスト、イリザロフ法など)をしなくても骨の幅を増やすことが可能。 この方法では、骨密度も上げることができるため、よりインプラントの手術適用が増えました。
<OAM式インプラントの特徴>
・骨を削る時の音や振動をほとんど感じないで済むため、怖がりの人もインプラントが可能
・手技による回転運動なので熱を発生しないので不快感が少ない
・侵襲が非常に少ないので安心して手術に臨める
・骨幅の拡大のみならず上方へも骨が盛り上がる
・初期固定が非常に強固に得られる
・骨を増やす手術がいらないので、一回の手術で済む
・傷が小さいため術後の治りが早い
・骨を少しづつ拡げるため骨密度があがるので、骨粗鬆症のような骨密度の低い方にも有利
OAM式インプラント手術手順
糸のような穴を少しずつ拡げてインプラントを埋める
1.0.5mmのラウンドバーで皮質骨に最初のマーキングとして、印となる先行穴を開けます。(0.3mm幅のドリルの場合もある)通常のドリルのような負担はなく、しかもドリルを使うのはこの最初のステップだけです。2.歯の根本治療用のファイルと呼ばれる器具を用い、所定の深さまで骨に穴を開けていきます。 35番のリーマーで揉みこみます。この時、指先の感覚で骨質が分かります。このとき、患者さまの方は麻酔も効いていて、振動もないのでまったく何も感じません。3.オーギュメーターという器具を使い、インプラントを埋め込むための穴を徐々に拡大していきます。直径0.5mmをはじめに挿入し手技のみで左右に約30度程度回転運動させます。4.器具の径を替えて徐々にマイクロフラクチャーさせながら骨幅の拡大をします。5.0.2mmずつのサイズアップより裂開を回避します。最終的には3.2mm程まで拡大していきます。インプラントを埋め込む予定の太さまで穴を拡大、この際、骨の幅も同時に拡がり、骨密度も上がります。6.必要なインプラント禍まで拡大できればフィクスチャーを埋入し手術完了です。
※患者さまの状態によっては(骨密度が極端に高い方など)、OAM式インプラント法が適用できない場合もあります。いわゆる骨密度D1(骨が極度に硬い)の方には従来のドリルを使う必要性があります。