2016年4月19日

あごの広がる仕組みと矯正法、歯並びを整える矯正についての違い

残念ながら、床矯正だけでは歯を正確に並べることはできません。床矯正治療をしながら疑問に思うことがあるかもしれません。床矯正を正しく理解いただくために少し詳しくご説明をしたいと思います。

拡大床
拡大床(かくだいしょう)

床矯正治療(しょうきょうせいちりょう)は、『拡大床(かくだいしょう)』を用いて治療を行うことを主役に考えて治療している総称です。
床矯正という名前は、医学的には正式名称ではありませんが、特徴的な名称として広く知れているので、当院では床矯正と読んでいます。(他にもワイヤー矯正、マウスピース矯正なども、正式名称ではありません。)

床矯正で使用される装置について(拡大床について)
床矯正で使用する装置は、複雑なものではありません。それを少しお話ししたいと思います。床矯正で使用されるこの拡大床は、ネジを埋め込む方向やネジの種類を変えることにより、色々と作用する方向がありますが、単純に書くとこんな感じです。

拡大床レジン床と呼ばれている所の『床』の文字を使用して、床矯正と言っています。これは、絵のように2つ以上に分かれています。
分かれた部分には、拡大ネジと呼ばれるものが組み込まれています。このクラスプとか唇側線と書かれているものは、色々な形がありますが、ここでは単純に書いています。

床矯正
ネジの部分を大きくして書くとこんな感じです。
左の棒みたいなものを使い、
床矯正
このようにネジを回していきます。
床矯正そうすると、ネジの部分がどんどん広がり、赤い矢印のようにレジン床の割れ目が広がり、その力で緑の矢印のように歯列が広がっていきます。これにより歯列の幅を主に広げていく装置です。

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床矯正のメリットとなかもずデンタルスタジオが考える懸念事項

●床矯正のメリットとしては、何といっても自分で外すことができるということ
⇒見た目が気になる、教育上の問題(国語の時間、音楽の時間、食事など)を懸念するご両親様も安心です。

●矯正治療を行う敷居が低くなります
⇒外せないというのがネックで矯正を断念する方もおられる中で、この床矯正装置は自分で必要性に応じて取り外しができる、とても魅力的でお手軽でもあります。

●普通の矯正治療に比べたら、値段がお安く矯正が出来ること

●お子様が見た目をきにする、思春期までに始められるので終了するまでが早い

床矯正拡大床を入れたときです。しっかり入っていれば、水色の矢印のような力がかかります。
床矯正実は床矯正で大切なのはタイミングです。お子様の場合、顎の成長がまだ著しいので、床矯正を行いながら、それと並行して食生活やライフスタイルも見直していきます。
床矯正柔らかい食事だけでなく、顎をきちんと使い食生活。よく噛み、筋肉も正常に育ち、結果正常な顎に成長する。それにより、歯も外側に移動して、さらに黄色い矢印の方に歯を支えている骨も広がっていくよう手助けをします。
床矯正ただ、たとえばすでに著しい顎の成長が終わっているときは、上記のような方法ではすでに顎が出来上がっているので、左の絵のようなことも起こります。歯の頭だけ押されて、角度がついてしまうことがあるということです。こんな「歯列が広がる」という状態を活かした矯正方法もあります。例えば、歯が内側に傾いてるときなど、とても優良な装置になります。それは、治療する際に歯を外側に傾かせないといけませんから。
床矯正は始めるタイミングがとても大切というのはこうした理由からです。

顎の成長を考えることなく、噛む大切さを伝えなければ、歯列だけを広がる恐れもあります。きちんとした成長を遂げず、異常な傾きをしてしまうと、そのあとの咬合に悪影響をおよぼす可能性もあります。だからこそ、症例数の多い確かな技術のあるドクターにかかること、きちんと食生活とライフスタイルの大切さを伝えられる歯科医師を選ぶことが大切なのです。

歯をみれば、あまり噛んでいない生活なのか、しっかり噛んでいるのかどうかもわかります。それは担当制で同じドクターが確認をしているから。毎月1回の調整はお子様にあわせた無理のない正しい歯並びへ導く調整治療だけでなく、経過をしっかり管理するために必要な通院なのです。

歯科医は見た目だけででなく、噛み合わせを考え、むし歯のない清掃性の高い口腔内環境を保てる歯間、バランスも考え、治療を進めていきます。何より、矯正の本当の意義は、歯科医師の目標である「一生自分の歯で過ごすこと、歯の寿命をながくすること」につながる治療であるということ。矯正は、その技術で咬合だけでなく、大きく歯根や顎にも影響を与えます。必要以上に歯にダメージを与えることもありますし、その後のことも考え、スタートするタイミングによっては、非抜歯ではしない方が良いときもあります。

また、たとえ隙間がうまくできたとしても歯の生え方はお子様によって異なります。綺麗な向きに導くのはⅠ期治療の床矯正ではできません。なので床矯正だけで治療が終了するとはいいきれないのが現状です。けれど、きちんと隙間があることで、歯を抜くことなくⅡ期治療で、歯を理想のむきに整えることが可能です。次の段階の矯正装置、Ⅱ期治療はワイヤーを使い、より細かな歯の向きを治していきます。Ⅰ期治療で骨格改善をし、Ⅱ期治療で歯並びをきれいにしていくとお考えください。

床矯正を進める工夫
床矯正は自分で頑張った努力で治療が進みます。装置を無くしたり、途中で投げ出したりしないよう、色々と努力していきましょう。

無くさない工夫
ケースのふたを上下逆に開けると装置を落としそうになるので、ケースの上側にシールなどで目印をつける。お気に入りのカラーの床矯正装置の色を選んだり、可愛くデコって愛着をもってもらう。他にも専用のポーチを作り、その中にケースを入れる癖をつけるなど。ポーチを見れば誰のものかがすぐにわかるので忘れたら、声をかけてもらえる。

床矯正床矯正床矯正

きちんと進める工夫
・お風呂に入っている時間や通勤時間にも装置をはめて時間を稼いでいる
・好きなテレビ番組を見る曜日や時間にネジを巻くようにして巻忘れを防止する
・巻いた日はカレンダーにシールを貼ったり、時間を書いたりして進める
・携帯電話のアラームをセットして巻忘れを防止

楽しく進める工夫
・うまく矯正がすすんだら、ごほうびを用意する
・学校で装置をつけている場合は、学校の先生や友達に説明して理解してもらう
・保護者や歯科医師から学校の先生に手紙を書いてもらう
・日記、ブログを書く
・目標とする人物、写真を貼って、イメージして頑張る
・装置ケースをデコレーションする
・可愛いケースやお気に入りのケースを見つける

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床矯正についてその他のページ

装置の巻き方床矯正について
装置にはネジが付いています。ネジは90度に1つ穴があいています。この穴にキー(ネジを巻く棒)を差し込み、矢印(→)の方向へ回します。どれくらいの感覚で、どれくらい巻くのかをしっかりお伝えしますので、自分で巻いて実感を感じるのも楽しみのひとつです。

装置を入れる時間床矯正について
装置は1日の入れている時間が全部合わせて14時間以上になるようにしましょう。最低6時間以上いれていないと歯は動きだしません。また、12時間以上いれずにいると歯は元の状態に戻ろうとします。きちんと効果を上げるためにも装置を入れる習慣をつけましょう。慣れも大切です。

床装置と歯磨き床矯正について
床矯正装置は食事や歯磨きのときには装置を外せるので、お口の中の歯磨きは普段と同じように出来ます。基本の歯磨きと虫歯予防の習慣を維持していきましょう。装置も綺麗に保つようにして下さい。

床矯正を進める工夫床矯正について
床矯正は自分で頑張った努力で治療が進みます。装置を無くしたり、途中で投げ出したりしないよう、色々と努力していきましょう。

床矯正について床矯正について

装置の入れ方・外し方床矯正について
装置の入れ方や外し方が間違っていると、装置が曲がったり壊れたりします。そうなると、しっかりした治療が出来ませんので、正しい方法を学びましょう。

装置の取り扱い床矯正について
床装置は取り外しが出来ます。これはメリットである反面、外したまま置いていると無くしてしまったり、他人に捨てられてしまったりする欠点でもあります。最初にリーフレットをお渡し、注意すべきこともしっかりお伝えします。

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抜歯を避けるために乳歯の時期から治療をスタート。

永久歯が生え始める頃(目安は前歯)が矯正治療のスタートにもっとも適している時期です。歯科医院での検査であごの成長、あごの奥で眠る永久歯に問題があればそこで発見できます。

乳歯の時期から治療をスタート永久歯が生えそろう前、つまり乳歯の段階で検査や治療を始めると、この先の本格治療に向けて万全な準備ができます。永久歯が生えそろってから治療を始めると歯を動かすスペースを作るために抜歯が必要になることがあります。抜歯を避けるためには、自然にスペース作りの準備ができる乳歯段階での治療開始がベストというわけです。

「矯正治療は早い時期からがいい」といいますが、お子様によってその成長は様々、まずは検査で顎の大きさと永久歯の大きさのバランスを確認、まだ早すぎる場合は、お母様にスタートのタイミングの目安をお知らせします。どのタイミングかわからない、という親御さんの気になるところを解消します。

6~10歳(乳歯から永久歯に生え変わる頃)

お子さんに行う早期の治療のことをⅠ期治療といいます。

Ⅰ期治療についてⅠ期治療
Ⅰ期治療では、その成長過程という時期だからこそできる、従来の矯正治療(成人に行う普通の矯正治療)では治すことのできなかった「あごの拡大」をすることにより、この大元の原因を治す原因療法を行います。(対症療法より原因療法の方がいいのは明らかです。)このことにより、従来では矯正といえば抜歯をするという考概念がなくなり、抜歯矯正をする確率は大きく下がりました。また、あごの位置を治したり、顔貌の改善も期待できます。
※症例によっては固定式の矯正装置を使う時もあります。

●あごの環境を整える早期治療
永久歯が正しく生えそろうようにあらかじめ土台を整える早期治療があります。舌のくせを正す装置やあごを広げる装置を使って、あらかじめ「あごの環境」を整えておくのです。

噛み合わせが逆になっている歯を治す装置もあります。装置は、主に取り外しのできる矯正装置を使いますので、写真を撮るとき、音楽や国語の時間、食事時など必要に応じてお子さんご自身で取り外しができるのも大きなメリットであり特徴です。取り外しができるので、歯みがきも通常通りにできます。治療目標が達成できたら一度治療をストップし、永久歯が自然に生えそろうまで定期的な経過観察を行います。

ちなみに、永久歯が生える時期には歯と歯の間に隙間ができます。これはあごがきちんと成長している証拠なので安心してください。逆にぴったりときれいに歯が並んでいるようでは問題です。

●歯とあごを同時に治療
生えそろったばかりの永久歯と同時にあごの骨も成長しているため、歯並びとあごの骨の両面から矯正治療を進めていくことができます。すると抜歯せずに矯正できる可能性も高まります。

13歳~(永久歯にはえかわってから)

まずⅠ期治療を行い骨格を整えて、永久歯が生えたら、Ⅱ期治療を行います。
※I期治療で治療が終わる場合もありますし、Ⅱ期治療に移行が必要な場合もあり、お子様の成長、状態によって治療期間、治療方法は異なります。

永久歯が生えそろったら、矯正装置をつけて本格治療がスタートします。子供がぐんぐん成長する力を利用すればスピーディに矯正治療を進めることができます。「矯正治療は子供のうちに」といわれるのはこのためです。

Ⅱ期治療についてⅠ期治療
Ⅰ期治療で、骨格等を改善した後に、歯並びそのものや噛み合わせをⅡ期治療で治します。Ⅰ期治療が終わり、あご(骨格)の大きさや前後関係が良くなっても歯の並びそのものがでこぼこしていたり、歯が回転して生えていたり、上下の噛み合わせが良くなかったり、前歯の前突感が少しあったりした場合に、Ⅱ期治療を行います。

永久歯が生えそろう12~13才くらいから行います。装置は、主にワイヤーを使って治します。(Ⅰ期治療で、歯並びや噛み合わせも改善されればⅡ期治療は必要ない時もあります。)

●歯並びが悪いってどういうこと?
乳歯が生え始めて成長とともに歯が生えそろってきます。何の問題も無くキレイな歯並びになることが良いことですが、しかし悪い歯並びとは、どういうことでしょう。 歯の間に隙間が無い、歯並びのアーチがきれいであるなど、見た目の部分で判断も出来ますが、歯並びが悪くなると一口に言っても症状は様々です。キレイなアーチでも上下の歯がうまくかみ合わない、または出っ歯であるなど...。 しかし、子供の時というのは歯が生えるとともに、顎も成長していきますので、いずれ永久歯が生えることを考え、お口の中を整えてあげることが必要です。

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悪い歯並びの典型的なパターン

歯並びが悪いとされる症状を幾つか上げてみましょう。

歯がくい違って生えている:叢生(そうせい)不正咬合
「叢生」というのは前歯が互い違いにガタガタに並んでいたりする、いわゆる「歯の並びが悪い状態をいいます。これはあごの骨の大きさと歯の大きさのバランスが取れていないことにより起こることが多く、言い換えれば小さなあごと大きな歯の組み合わせによって起こるものです。

下の歯が前歯で深く隠れてしまう:過蓋咬合(かがいこうごう)不正咬合
奥歯で噛むと、前歯が深く噛み込み、下の前歯がほとんど見えなくなるくらい閉じてしまう状態です。これを放置しておくと、やがて下の前歯が上の前歯の裏側の歯肉に食い込むようになり、歯肉を傷めるだけでなく、上の前歯が押されて出っ歯になる可能性もあります。

前歯がかみ合わない:開咬(かいこう)不正咬合
これは奥歯をかみ合わせても、前歯がかみ合わない状態をいいます。症状により前歯のかみ合わせは数ミリから、中には1cmかみ合わない状態の人もいます。このような前歯がかみ合わない状態では、前歯でうまく食べ物がかみ切れなかったり、またおしゃべりをするときに特に「さしすせそ」などがうまく発音できないといった問題が起きます。原因としては、指しゃぶりや舌ベロを前に突き出すような癖が考えられます。子供の指しゃぶりに関しは、よくお母さんから「いつ頃までに止めさせるようにした方が良いですか」という質問をうけますが、一応、5才くらいが目安だと思います。子供が指しゃぶりはいけないことだということをよく理解し、自分から止めるように根気よく説明することが大事です。

下あごが前に出ている受け口:反対咬合(はんたいこうごう)不正咬合
「受け口」ともいわれ、下の歯あるいは下あごが前に出ていて、咬み合わせが逆になっている状態です。反対咬合の中には歯だけに問題があるタイプとあごの骨に問題があるタイプがあり、当然あごの骨に問題があるタイプの方が治療が難しいことが多く、また下あごは身長が伸びる時期に同じように伸びるため、身長が伸びる時期を控えている子供は年齢と共に反対咬合が悪化することがありますので、きちんと治療をすることが大切です。

上顎の前歯が出ている出っ歯:上顎前突(じょうがくぜんとつ)不正咬合
「出っ歯」の中には、文字通り上あごの前歯が前に飛び出ているタイプと、下あごが小さくて後ろに下がっていることにより「出っ歯」に見えるタイプがあります。そして実際には2番目のタイプすなわち上あごは正常であるのに下あごの成長が不十分で小さいために「出っ歯」に見えるタイプが多いようです。

口元が外に出て唇が閉じづらい・・・上下顎前突(じょうげがくぜんとつ)不正咬合
イーラインより口元が外に出ている状態です。この症状の方は、唇が閉じづらい状態であることが多く見受けられます。

歯の間に隙間ができているすきっ歯:正中離開(せいちゅうりかい)不正咬合
歯の間に隙間ができた状態です。常に息が抜ける事から、特にサ行やタ行の発音が不明瞭となることが多く、言葉が聞き取りにくいと言われて悩むお子さんも少なくありません。

前歯に下の歯がかぶさる:交叉咬合 (こうさこうごう)不正咬合
奥歯をかみ合わせると、普通は上の歯は外側に、下の歯は内側になります。ところが、交叉咬合ではこれが逆になり、左右に大きく崩れるところから、あごや顔が曲がったようになったりします。症状には片側だけがずれている場合と、両側がずれている場合があり、奥歯で物をかもうとしてもできなかったり、歯を食いしばったりができなくなったりします。幼児期の指しゃぶり、片側だけでかむ癖をつけていたり、頬杖をつく癖などが交叉咬合の原因となります。

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