装置を装着したときの写真
右斜め前から見た装置の写真
上から見た装置の写真
【目的】
・上唇の圧力を排除し、口唇圧のバランスを整える
・低位舌(※)を改善する
・逆被蓋(※※)を改善する
※低位舌(ていいぜつ):舌が常にお口の中で下の方に位置していて、下の前歯を絶えず前の方に押している状態。正常な場合、舌は上の方に位置している。
※※逆被蓋(ぎゃくひがい):上下の前歯が逆に噛んでいて受け口になっている状態。
ムーシールドとは?
就寝時に使用して反対咬合を正す矯正治療マウスピース型の装置です。永久歯が生える前の受け口のお子様に、就寝時にのみ使っていただきます。3歳から使用できる反対咬合と呼ばれる、いわゆる「受け口治療装置」で、マウスピースをお口の中に入れることで舌や口の周りの筋肉のバランスを整えます。早期から治療を開始できますので、外科手術を併用する治療を回避できる可能性が高くなります。効果は1年くらいで9割が改善するとされています。当院でも高い効果が得られております。
就寝時に装着していただき しっかり使用できれば3~8ヶ月程で改善がみられます。
~何故、ムーシールドで受け口が治るのか?~
・小児期の受け口は、上唇の力が強く上顎の成長が悪い
・下唇の力が弱い舌が下の方にあるため唾を飲み込むたびに下顎を前に押す
噛み合わせ面の不調和というような特徴があります。つまり、舌や唇、ほっぺたの力のつりあいの不調和から起こることが多いのです。
ムーシールドには
・早期初期矯正治療としての働き
・被蓋(咬み合わせ)の改善
・舌圧と口唇圧のバランスの改善
・舌を高位(高い位置)に保つ機能
などが1つの装置に盛り込まれています。
これらの機能により、「歯並びを整える」というのではなく、「子供の顎の成長を利用して、上下の歯の咬み合わせの関係を正常なものにしようとさせる」 という目的で使用するものです。
しかしこの装置で将来にわたって100%咬み合わせ異常が改善されるわけではありません。小学校に入学されたあたりから、再び装置を使った矯正に移行することも多いです。そのような場合でも早くから矯正を始めておくと、無理なく矯正治療が進みますので、3歳頃から矯正治療をご相談されることをお勧めします。
ムーシールド治療を始めるタイミング
三歳からの反対咬合矯正
ムーシールドとは、反対咬合(受け口)を矯正するマウスピース型の器具です。治療方法は就寝時にムーシールドを装着するだけ。いたってシンプルな治療法です。
反対咬合は、かみ合わせが反対という意味で、下の歯が上の歯よりも前に出ている状態を指します。上顎に対して下顎が過剰に発達することで起こるものです。下顎は第一次成長期、つまり幼児期に大きく発達。このため、ムーシールドによる治療は3~4歳児を対象に行います。
3~4歳児の歯はもちろんまだ乳歯です。このため、乳歯の時点で反対咬合であっても、永久歯に生え変わる時点で治る場合もあります。しかしそれは極めてまれなケース。乳歯が反対咬合であれば、そのまま下顎が過剰発達を続ける場合がほとんどです。
特に、親御さんなど近親者に反対咬合の人がいる場合は、早めに受診した方がよいでしょう。また、反対咬合の原因は遺伝だけでなく、舌まわりの筋肉の使い方が関わってきます。通常ものを飲み込む際に、舌先は上顎の歯の裏についています。しかし、反対咬合の人は下顎の歯の裏についているのです。舌が歯を圧す力を舌圧といいますが、これはかなり強い力で、下の歯に舌圧がかかればそれだけ反対咬合が進んでしまいます。このため、ムーシールド矯正と併せて舌を正しく動かすトレーニングが必要なのです。
ムーシールドを使用する矯正治療のしくみ
ムーシールドの治療目標のひとつは、低い位置で機能している舌を持ち上げることにあります(1)。舌の位置が低いと自然と下顎を前に押し出し、下顎が上顎よりも前に出る受け口(反対咬合)の原因となってしまいます。また上唇の力が強いと上顎の成長が抑制され、下唇の力が弱いと下顎の成長が進んで受け口の原因になりますので、シールド部分で上唇の力を防いでお口の周りの筋肉のバランスを調整します(2)。
上唇の過度な力を弱め 上あごの成長を促します。上唇と上あごの間にムーシールドを介在させ、上唇の力が上あごにかかるのを防ぎます。
装置に舌を入れるポケットがついています。いつも正しい位置に舌を保持しておくことで 舌が下あごを押さないようにします。
つまり 歯にかかる外的な力をコントロールすることで治っていきます。大人になって骨が固まってからでは ムーシールドでの治療はできません。
反対咬合は 乳歯列のときにご相談下さい
ムーシールドの適応症例
ムーシールドは、下顎前突(受け口、反対咬合/下顎が前方に突出していること)の治療に適しています。
・叢生(デコボコ・八重歯)の治療:拡大床 クワドヘリックス
・上顎前突(出っ歯)の治療:ヘッドギア バイオネーター
・反対咬合(受け口)の治療:フェイシャルマスク ムーシールド バイオネーター
・過蓋咬合(深いかみ合わせ)の治療:バイオネーター
ムーシールドを使用する矯正治療の利点と欠点
ムーシールド矯正の利点
・早期(3歳頃)から治療を開始することが出来ます
・睡眠時に使用するだけで治療が出来ます
・通常の矯正治療より比較的短期間で治療を終えることが出来ます
ムーシールド矯正の欠点
・ムーシールドで治療が出来るのは、永久歯が生える前までに限られます
・将来的にワイヤーを用いる矯正治療が必要になることがございます
・全ての受け口のお子様に適応出来るわけではございません
ムーシールドのメリット・デメリット
<メリット>
・発音(特にサ行・タ行)がよくなる。
・将来の審美性を上げる。
・低価格
・後に手術をする必要がない
<デメリット>
・子供にとっては就寝時の負担になることがある
・成長するにつれ再調整が必要な場合がある
反対咬合だからといって子供の成長や発達を阻害することはありませんが、話し方が舌足らずになってしまうことがあります。また、反対咬合の独特の顔型にコンプレックスを持つ人は少なくありません。
大人になってから反対咬合を治療する場合、歯科矯正だけでは治らず、手術に及ぶ場合があります。こういったことを考え合わせると、幼児期に低価格で調整できるムーシールド治療を行い、舌のトレーニングも併せて行うのが一番安心ではないでしょうか。
どこの歯科医院でも治療可能なわけではありません。信頼のおける症例数も多いムーシールド取扱い医院を選ぶことがとても大切です。