残念ながら、床矯正だけでは歯を正確に並べることはできません。床矯正治療をしながら疑問に思うことがあるかもしれません。床矯正を正しく理解いただくために少し詳しくご説明をしたいと思います。
拡大床(かくだいしょう)
床矯正治療(しょうきょうせいちりょう)は、『拡大床(かくだいしょう)』を用いて治療を行うことを主役に考えて治療している総称です。
床矯正という名前は、医学的には正式名称ではありませんが、特徴的な名称として広く知れているので、当院では床矯正と読んでいます。(他にもワイヤー矯正、マウスピース矯正なども、正式名称ではありません。)
床矯正で使用される装置について(拡大床について)
床矯正で使用する装置は、複雑なものではありません。それを少しお話ししたいと思います。床矯正で使用されるこの拡大床は、ネジを埋め込む方向やネジの種類を変えることにより、色々と作用する方向がありますが、単純に書くとこんな感じです。
レジン床と呼ばれている所の『床』の文字を使用して、床矯正と言っています。これは、絵のように2つ以上に分かれています。
分かれた部分には、拡大ネジと呼ばれるものが組み込まれています。このクラスプとか唇側線と書かれているものは、色々な形がありますが、ここでは単純に書いています。
ネジの部分を大きくして書くとこんな感じです。
左の棒みたいなものを使い、
このようにネジを回していきます。そうすると、ネジの部分がどんどん広がり、赤い矢印のようにレジン床の割れ目が広がり、その力で緑の矢印のように歯列が広がっていきます。これにより歯列の幅を主に広げていく装置です。
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●床矯正のメリットとしては、何といっても自分で外すことができるということ
⇒見た目が気になる、教育上の問題(国語の時間、音楽の時間、食事など)を懸念するご両親様も安心です。
●矯正治療を行う敷居が低くなります
⇒外せないというのがネックで矯正を断念する方もおられる中で、この床矯正装置は自分で必要性に応じて取り外しができる、とても魅力的でお手軽でもあります。
●普通の矯正治療に比べたら、値段がお安く矯正が出来ること
●お子様が見た目をきにする、思春期までに始められるので終了するまでが早い
拡大床を入れたときです。しっかり入っていれば、水色の矢印のような力がかかります。
実は床矯正で大切なのはタイミングです。お子様の場合、顎の成長がまだ著しいので、床矯正を行いながら、それと並行して食生活やライフスタイルも見直していきます。
柔らかい食事だけでなく、顎をきちんと使い食生活。よく噛み、筋肉も正常に育ち、結果正常な顎に成長する。それにより、歯も外側に移動して、さらに黄色い矢印の方に歯を支えている骨も広がっていくよう手助けをします。
ただ、たとえばすでに著しい顎の成長が終わっているときは、上記のような方法ではすでに顎が出来上がっているので、左の絵のようなことも起こります。歯の頭だけ押されて、角度がついてしまうことがあるということです。こんな「歯列が広がる」という状態を活かした矯正方法もあります。例えば、歯が内側に傾いてるときなど、とても優良な装置になります。それは、治療する際に歯を外側に傾かせないといけませんから。
床矯正は始めるタイミングがとても大切というのはこうした理由からです。
顎の成長を考えることなく、噛む大切さを伝えなければ、歯列だけを広がる恐れもあります。きちんとした成長を遂げず、異常な傾きをしてしまうと、そのあとの咬合に悪影響をおよぼす可能性もあります。だからこそ、症例数の多い確かな技術のあるドクターにかかること、きちんと食生活とライフスタイルの大切さを伝えられる歯科医師を選ぶことが大切なのです。
歯をみれば、あまり噛んでいない生活なのか、しっかり噛んでいるのかどうかもわかります。それは担当制で同じドクターが確認をしているから。毎月1回の調整はお子様にあわせた無理のない正しい歯並びへ導く調整治療だけでなく、経過をしっかり管理するために必要な通院なのです。
歯科医は見た目だけででなく、噛み合わせを考え、むし歯のない清掃性の高い口腔内環境を保てる歯間、バランスも考え、治療を進めていきます。何より、矯正の本当の意義は、歯科医師の目標である「一生自分の歯で過ごすこと、歯の寿命をながくすること」につながる治療であるということ。矯正は、その技術で咬合だけでなく、大きく歯根や顎にも影響を与えます。必要以上に歯にダメージを与えることもありますし、その後のことも考え、スタートするタイミングによっては、非抜歯ではしない方が良いときもあります。
また、たとえ隙間がうまくできたとしても歯の生え方はお子様によって異なります。綺麗な向きに導くのはⅠ期治療の床矯正ではできません。なので床矯正だけで治療が終了するとはいいきれないのが現状です。けれど、きちんと隙間があることで、歯を抜くことなくⅡ期治療で、歯を理想のむきに整えることが可能です。次の段階の矯正装置、Ⅱ期治療はワイヤーを使い、より細かな歯の向きを治していきます。Ⅰ期治療で骨格改善をし、Ⅱ期治療で歯並びをきれいにしていくとお考えください。
床矯正を進める工夫
床矯正は自分で頑張った努力で治療が進みます。装置を無くしたり、途中で投げ出したりしないよう、色々と努力していきましょう。
無くさない工夫
ケースのふたを上下逆に開けると装置を落としそうになるので、ケースの上側にシールなどで目印をつける。お気に入りのカラーの床矯正装置の色を選んだり、可愛くデコって愛着をもってもらう。他にも専用のポーチを作り、その中にケースを入れる癖をつけるなど。ポーチを見れば誰のものかがすぐにわかるので忘れたら、声をかけてもらえる。
きちんと進める工夫
・お風呂に入っている時間や通勤時間にも装置をはめて時間を稼いでいる
・好きなテレビ番組を見る曜日や時間にネジを巻くようにして巻忘れを防止する
・巻いた日はカレンダーにシールを貼ったり、時間を書いたりして進める
・携帯電話のアラームをセットして巻忘れを防止
楽しく進める工夫
・うまく矯正がすすんだら、ごほうびを用意する
・学校で装置をつけている場合は、学校の先生や友達に説明して理解してもらう
・保護者や歯科医師から学校の先生に手紙を書いてもらう
・日記、ブログを書く
・目標とする人物、写真を貼って、イメージして頑張る
・装置ケースをデコレーションする
・可愛いケースやお気に入りのケースを見つける
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装置の巻き方
装置にはネジが付いています。ネジは90度に1つ穴があいています。この穴にキー(ネジを巻く棒)を差し込み、矢印(→)の方向へ回します。どれくらいの感覚で、どれくらい巻くのかをしっかりお伝えしますので、自分で巻いて実感を感じるのも楽しみのひとつです。
装置を入れる時間
装置は1日の入れている時間が全部合わせて14時間以上になるようにしましょう。最低6時間以上いれていないと歯は動きだしません。また、12時間以上いれずにいると歯は元の状態に戻ろうとします。きちんと効果を上げるためにも装置を入れる習慣をつけましょう。慣れも大切です。
床装置と歯磨き
床矯正装置は食事や歯磨きのときには装置を外せるので、お口の中の歯磨きは普段と同じように出来ます。基本の歯磨きと虫歯予防の習慣を維持していきましょう。装置も綺麗に保つようにして下さい。
床矯正を進める工夫
床矯正は自分で頑張った努力で治療が進みます。装置を無くしたり、途中で投げ出したりしないよう、色々と努力していきましょう。
装置の入れ方・外し方
装置の入れ方や外し方が間違っていると、装置が曲がったり壊れたりします。そうなると、しっかりした治療が出来ませんので、正しい方法を学びましょう。
装置の取り扱い
床装置は取り外しが出来ます。これはメリットである反面、外したまま置いていると無くしてしまったり、他人に捨てられてしまったりする欠点でもあります。最初にリーフレットをお渡し、注意すべきこともしっかりお伝えします。
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コンサル:1時間
・チェアーにて口腔内診査(叢生、上顎前突、下顎前突、開口)
・パノラマレントゲン撮影
コンサル:口腔内診査結果をお話しします
・小冊子(しおり)にてご説明いたします。
・料金説明
印象:1時間(チェアー・印象)
・オクルーザー
・診断書(リットレ、ノギス)
コンサル:しっかり正しく筋肉を作りましょう!!
・小冊子(食育)
セット:1時間
・セット
・写真(装置あり、なし、顔面)
お渡しするもの
・床矯正装置
・小冊子(はじめ方)
・担任の先生宛の手紙 先生へのお手紙 書面参考
・カレンダー
・取り扱い用紙
コンサル:小冊子(はじめ方)
調整:45分
・チェアー・調整
・出し入れの確認
・小冊子(悪いくせの見つけ方)
床矯正セット当日
まずお口の中にいれてください。
ピンク部分がしっかりはいっているか、床全体が浮いていないかチェックします。
着脱方法
①口角をひっかけないように斜めから入れる
②ある程度の位置におさまったら唇を排除してはさまないようにする
③カチッと音がするところまで挿入。ピンク部分を奥から順に4か所押す
④必ずクラスプを両方持ち着脱する。唇側線は触らない
⑤ねじのまわし方:基本は一回45度。週2回で1週間90度
⑥床矯正のはじめかたの本(緑)をしっかり読む
⑦ねじのまわし方を覚える
⑧洗い方:ブラシでのこすり方と場所は担当の衛生士が説明。洗浄剤は週1回程度
⑨破損が多いため、外した際の保管法に注意する
⑩医院より先生宛にお手紙を用意 先生へのお手紙について 書面参考
⑪大切な記録になるのでカレンダーも忘れずにつける
⑫まずは1週間程度まわさず、慣れてから、大丈夫なら回し始める
ピンク部分が強く当たって痛いときは調整します。歯が痛いのは当たり前なので、数日我慢していると慣れて気にならなくなってきます。どうしても痛い場合はまわさない。もしくは最悪少し戻すようにしてみて下さい。
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