神経を取らない治療法【ドッグスベストセメント】

むし歯治療というと、削られて、ときに痛い麻酔の注射をする......イヤなイメージしかないですよね?誰だって痛い思いはしたくないと思います。そこで、当院がむし歯治療に採り入れている方法が「ドックスベストセメント法」。できるだけ歯を削らず、「ドックスベストセメント」というお薬を用いてむし歯菌を除菌し、むし歯を治します。

夢のセメントといわれる「ドッグスベストセメント」

ドッグスベストセメント

ドックスベストセメント(Doc's Best Cements)とは、アメリカで開発された、今までのむし歯菌を削って治すという発想とは全く違う、"むし歯菌を削らないでミネラルで殺菌する" という画期的な治療法です。ドックスベストセメントは、アメリカ最大の歯科関連団体であるADA(アメリカ歯科医師会)において安全な薬剤として許可を受け、アメリカでは一般的に用いられている製品です。

次世代のセメントシステム
むし歯を完全に取り除かずに、そして歯髄(歯の神経)を取らない治療法です。なかもずデンタルスタジオではドックスベストセメントをご選択いただけます。

むし歯で痛みが出た時は、ほとんどの場合で歯髄(歯の神経)までむし歯が達しています。通常の保険の治療では「むし歯部分を完全に除去」することが基本です。そして、むし歯部分(軟化象牙質)を除去して歯髄に達していたら「歯髄を取る」という治療になることがほとんどです。そこで、むし歯をほとんど残したまま、むし歯治療を終了できる、最短 1回の「夢の治療」がドックスベストセメントです。このドックスベストセメントは軟化象牙質(むし歯の部分)をほとんど取り除かず、むし歯を残したまま処置します。軟化象牙質はドックスベストセメントの力で無菌化され石灰化し治癒します。むし歯の部分が健康な歯質に変化し、刺激も少なく歯髄を保存します。

●初期のむし歯
削る量が少ないので、そのまま詰め物をします。ドックスベストセメントを使用する必要はありません。

●少し進んだむし歯ドッグスベストセメント
通常なら、むし歯の部分をすべて取るため大きく歯を削ります。しかしドックスベストセメントを使用することで、むし歯菌の部分をほとんど削り取る必要性はないので、大事な歯を、極力削らないで処置することができます。また、神経の上の自分の歯をほとんど削らないので、歯がしみにくいというメリットがあります。

●神経まで達する深いむし歯の場合
⇒通常の治療では・・・
ドッグスベストセメント歯の中にある神経をすべて取って、取った後の部分に神経の代わりになるゴムの詰め物をします。通常の治療においても、細心の注意を払ってしっかりと治療していきます(保険治療となります)。

⇒ドックスベストセメントでは・・・
ドッグスベストセメントむし歯菌の感染部分を全部取ってしまうと神経が出てしまうので、神経まで達しているむし歯の部分を除去せずに、ミネラルでむし歯を殺菌します。むし歯菌を殺す特殊なドックスベストセメントを使用し、歯の中にむし歯菌があった箇所が残りますが、むし歯菌はドックスベストセメントで死んでいるので、しっかり密封すれば、そのまま大きくなっていくことはありません。ドックスベストセメントは、まだ保険治療でできる方法として認められていないので、この方法は自費治療となります。また、ドッグスベストの治療をした場合は、上に被せる冠や詰め物も自費扱いとなります。

<ドックスベストセメントのメリット>
・神経を取らなくてはならない大きなむし歯の神経を取らないで済ませることができる
・神経に達していない中等度のむし歯の場合でもむし歯菌を削り取らないので、大切な歯を削る量が非常に少なくて済む
・特にお子様の若い永久歯のむし歯には最適な治療方法
・治療回数が少ない(通常2~3回)
・一つ軽い治療になるので、一般に歯の寿命が延びる
 (もし、治療後痛みが生じた時には、その時に通常の神経を取る治療ができる)
・薬ではないので、お薬にアレルギーのある方にも安心して使用できる
・ドックスベストセメントをいれた部分は、永続的な殺菌効果が期待できる
・ドックスベストセメント使用によりむし歯菌により感染した歯質をすべて削除することなく、むし歯菌を殺菌することできる
・また、感染した歯質(軟らかい)は数ヶ月から数年で健康な歯質(硬い)に変化
・歯髄(歯の神経)の保護、保存が可能
・最低限の歯質の削除ですむため、治療中の痛みがほとんどない(ただし、元々治療がされている歯、銀歯などは別)

<ドックスベストセメントのデメリット>
・日本では、まだ保険治療として認可されていないので、自費治療となる
・むし歯菌に罹患している部位や量、状態等によっては、この治療が出来ないケースもある
 例)ズキズキと痛みがある場合など...
・歯の中のむし歯菌は治療できる、むし歯にならない歯にする訳ではない

ドックスベストセメントの説明

アメリカ合衆国で公的機関の厳しい検査をクリアし認可を受け、商品化されたお薬。抗生物質などとは異なり、人間の血液中に含まれる銅イオンを主成分とし、さまざまなミネラルからつくられているため安全です。

また、薬剤耐性菌をつくる心配もありません。アレルギー検査では、歯科で用いられるセメントなどの薬剤の中でもっともアレルギー性がないというデータも報告されています。子どもからお年寄りまで安心してお使いいただけます。
さらに、半永久的にむし歯菌に対して殺菌成分を出し続けるため、むし歯を治すだけでなく、再発を予防してくれる効果もあります。

ドッグスベストセメント
むし歯をある程度取ります。歯の神経から2mmまでのむし歯はわざと残します。

ドッグスベストセメント
3Mixという特別な薬剤を詰めて、むし歯菌を1週間除菌します。

ドッグスベストセメント
症状確認後、むし歯の上を覆うように、ドックスベストセメントを詰めます。むし歯菌は無菌化され、むし歯が進行することはなくなります。1~2年でむし歯は硬くなり、自然治癒します。好きな詰め物、かぶせ物を入れて治療は終了です。

注意事項
・すでに強い痛みのある大きなむし歯には適応できません。
・通常の治療より神経を保存できる可能性は高いですが、経過によっては後日神経を取る必要があるケースもあります。
・ドックスベストセメント法は国内においては保険がきかず、適応症やお薬の詰め方が難しいうえに特殊なトレーニングや熟練のテクニック・経験が必要なため、まだまだ採用している医院はごくわずか。

※歯を削らないことは痛くないだけでなく、歯の寿命を延ばします。「生涯にわたって自分の歯を維持していたい」という方におススメします。

ドックスベストセメント(Doc's Best Cement)て何?
ドックスベストは、2002年にアメリカのティモン・フレーザー氏が開発。このセメントは画期的な抗菌物質により、むし歯菌(ミュータンス菌、乳酸桿菌)を12ヶ月に渡り殺菌効果があることです。成分に銅、亜鉛、リン、鉄、アルミ、酸化チタンなどが含まれています。殺菌作用の主となる銅、他のミネララルはむし歯で感染した歯質の再生に使われます。銅は昔から殺菌法のひとつとして幅広く用い、そして微量でも殺菌力が強いことが知られています。触媒によりイオン化した銅は細菌の細胞壁に吸着浸透し細菌の生命活動を阻害し死滅させる働きがあります。

【新しい治療方法】
ドッグスベストセメント
治療前のレントゲン写真
右側の歯の黒いところが神経にまで達するほどのむし歯です。

ドッグスベストセメント
治療前のむし歯の状態

ドッグスベストセメント
むし歯を必要最低限削除しむし歯を約3mm残し、ドックスベストを塗布した状態です。

ドッグスベストセメント
ドックスベストをさらに積層します。

ドッグスベストセメント
ハイブリットレジン(グラディア)にて歯の形態に修復します。

ドッグスベストセメント
治療後のレントゲン写真
歯の神経は取らずに白いところが治療したところです。

【適応症例】
1. 慢性的なむし歯(C2~C3)
2. 少ししみる程度で、強い痛みが無いこと
3. 噛んだりしても痛みがない
4. 熱いものにはしみない
5. 歯の神経が死んでいない歯牙

残念ですが、すべてのむし歯に適応できるわけではありません。そして、金属が入っている歯牙、以前に治療をしている歯牙なども治療可能ですが、初めてむし歯の治療する歯牙の方が、本来のドッグスベストの特性をより生かせると思います。

これからのむし歯治療について
神経を取った歯は弱くなるだけでなく、痛みを感じなくなるため、再発の際に悪化するまで気づかなくなることも少なくありません。そして、なにより注意したいところは「破折する可能性」が高くなります。

こうした、通常の完全除去という選択肢以外に「ドッグスベスト(Doc's Best Cement)」という選択肢があることを知っていてほしいと思います。

「夢のセメント」ともいわれる所以は、完全にむし歯部分(軟化象牙質)を除去しないことにあります。ドッグスベストは、軟化象牙質が残っていた方が都合がよく、軟化象牙質はドックスベストセメント(Doc's Best Cement)の力で無菌化され、石灰化し治癒します。削らない=麻酔をしなくても済む=神経を残せる=歯をできるだけ長く持たせる というところから、「夢の治療」といわれています。

ドックスベストセメントの費用

ドックスベストセメントによる治療は自費治療です。

【治療にかかる費用】むし歯菌の部分処置・・・・5,000円+消費税

※むし歯部分の処置後、冠を入れたり詰め物をしたりする場合、自費治療となります。この場合の費用の考慮も必要です。

自費治療の被せ物、詰め物についてはこちらのページをご参照ください。

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