エムドゲイン

歯周組織再生材料のエムドゲインゲルの主成分(エナメルマトリックスデリバティブ)は、子供の頃、歯が生えてくる時に重要な働きをするタンパク質の一種で、この製品は歯周組織回復のため世界39カ国で使用されています。しかし保険は適応されていないので自費治療となります。

エムドゲインとはエムドゲイン
スウェーデンの幼弱な豚の歯の芽(歯胚と言います。)から抽出したタンパク質の1種です。エムドゲインは商品名で、一般名エナメルマトリックスデリバティブです。スウェーデンのビオラ社で開発生産され世界40カ国以上で使用されています(莫大な数の論文が世界中で発表されています)。日本の厚生労働省の承認ではありますが、健康保険診療の適応外治療となります。

エムドゲイン見た目や性状は、サトイモの煮汁にそっくりです。(鍋の底にたまったドロドロしたもののイメージ。)

作用:歯が生えてくる時と同じ環境を作りだすことによって、再度骨を歯の周囲に呼び込んで骨を再生させます。

<どんな歯周病にも使える?>
部分的に骨が吸収してしまった場合にのみ効果があります。例えば、歯の周囲360度の骨が水平的に下がってしまっている様な場合、骨を再生させる事はできません。

<準備>
基本的な歯周病の治療が一通り終わっている必要があります。つまり歯ブラシがしっかり使える様になっている事及び、歯石の除去等が終了している事です。歯ブラシの使い方が悪い場合や、きっちりとした歯周病の治療ができていないと、このエムドゲインを使っても意味がありません。尚、きちっとした歯周病治療とは、歯ブラシの正しい使用法を理解し、その上に、エムドゲインを必要とする部分の様な場合、局所麻酔をした状態において、しっかり歯石が除去されていることを意味します。

<実際の使用方法>
歯茎を切開して、歯の面を徹底的に掃除をしてから、酸処理をしてエムドゲインを塗布後に縫合して完了。GTR法よりは簡単ですが、ある程度縫合をしてから エムドゲインを塗布しないとサトイモの煮汁状ですので、塗布してから縫合していると流れ出てしまいます。また、この段階でまだ沢山の歯石が残っているよ上手くいきません。そのため、この前の段階で殆どの歯石をとっておく必要があります。

<術後のケア>
1ヶ月位は、歯間ブラシや、デンタルフロスでなどで刺激せず、そーっとしておくことが重要です。周囲を磨く事はかまいませんが、あくまでもエムドゲイン を塗布したところは触れないようにします。補助的な手段として、クロルヘキシジンを含有したコンクールと言うウガイ薬やリステリンを使っていただきます。そして 定期的に来院していただき、歯科衛生士がその部分をさわらないように、掃除をします。歯周病は慢性病です。エムドゲインを使って骨を再生させても、その骨を溶かす細菌が増えだす環境ですと、再度発症となりますので、定期的なポケット内の清掃をかかせないようにして下さい。

エムドゲインゲルを使用した歯周再生治療法について
●手術前の作業
レントゲンや歯周ポケットの検査など、治療に必要な検査を行います。歯周再生療法が行えるかどうかは歯周病の程度、患者様の健康状態など様々な検査を元に診査診断いたします。

●歯周外科手術
歯周外科手術は麻酔をかけ、歯肉を切開、剥離します。次に剥離した部分の歯面表面の清掃を行い、完全に歯石を除去します。清掃後は歯周組織再生材料のエムドゲインゲルを塗布し、切開した部分を縫合し手術は終了です。手術時間は約1時間で、手術後しばらく休んでいただいた後は帰宅できます。抜糸は2~6週間後に行います。
※歯周外科手術は治療についての注意、治療方法詳細の説明後、患者様の同意を得た上で行います。

エムドゲインエムドゲイン

●手術後
手術部分は指や舌でさわらないよう注意が必要です。術後3~6週間は消毒薬で口の中を洗浄していただき、必要な場合は抗生物質を処方します。

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