インプラントに使う素材「チタン」
インプラントに使用する人工歯根には「チタン」という金属が使われています。チタンの分子レベルが非常に骨と似ているため骨が異物と思わないため他の素材より歯とくっつきやすいのが大きな特徴です。 骨に埋め込んだチタンは3~6ヶ月で結合するので自然の歯と同じようになります。
インプラント治療で最も重要なことが二つあります。
1.インプラントと天然歯が調和した咬合を与えること
2.インプラント治療後のメンテナンスをきちんと行うこと
当院ではインプラント治療の際には、創傷治癒(早く傷を治す事)の観点より、患者さまおひとりおひとりの骨質に対処したインプラント手術ができるように努めています。
様々なインプラントのメーカー
現在の安全性が高い治療システムが確立されるまでには様々な形状・材料で作られたインプラントがありました。 現在では、純チタン・チタン合金の、歯根に似た形状をしたものが主流で、長さ・太さ・表面性状・形状などが違う、たくさんの種類が存在しています。 現在も、より多くの症例に適した治療を提供できるよう研究が進められ、様々な長さ・幅・形状をしたものが製造されています。現在インプラント本体に使用されている材質は、純チタンかチタン合金がほとんどのようです。より骨と強固に結合できるように研究された結果、チタンの表面は酸処理やプラズマ溶射等、各種処理が施されていますが、それらとは別に、本体にハイドロキシアパイタイトをコーティングしたタイプのものも存在します。
現在、国内外を合せ、およそ200社ものインプラントメーカーがあります。なかもずデンタルスタジオでは、患者さまのあった治療法だけでなく、インプラントシステムにもこだわって治療を行っております。信頼性のある機能を兼ねそろえたものを考え各種インプラントシステムを採用しています。これらの選択には高度な知識が求められますので、精密検査を行った上で歯医者さんが判断することになります。
代表的なものとして挙げられるものは下記になります。
3iインプラント
【原産】アメリカ
【製造】Implant Innovations社
【性状】オッセオタイト
3iインプラントはアメリカのImplant Innovations社が製造しているインプラントで、アメリカでのシェアはトップクラスで、世界的にも第3位という高いシェアを誇っています。3iインプラントの最大の特徴は、特許を取得した「オッセオタイト」という表面性状にあります。
オッセオタイトは微小で均一な粗造構造で、この微細な突起の間にフィブリンの束が絡まってクロット付着を創り出し、このことがインプラントと骨の結合「オッセオインテグレーション」を強力に促進します。一般臨床施設研究で高い成功率をあげており、1,000人を超える患者さまに対して2,500本以上のケースで使用された3iの臨床評価は、5年間平均成功率97.2%、不良骨では98.6%と、非常に高い成功率となっています。
そうした実績から1999年には「骨が不良な部位における治癒実績を改善した唯一のインプラント」としてFDA(※)認証を得ています。3iは日本ではそれほどメジャーなシステムというわけではありませんが、当院では患者さまに合わせてこのタイプを採用することもあります。
※FDA=米国食品医薬品局
スイスプラス
【原産】アメリカ
【製造】Zimmer Dental社
【性状】オッセオタイト HA Implant Spline twist MP-1(通称カルシテックインプラント)
スイスプラスは、スイスで開発されたITIインプラントを模倣して、アメリカ・ジーマデンタル社で作られたインプラントです。スイスのITIを越えられるようにとスイスプラスの名前が付けられています。 表面はSBMブラスト処理によりザラザラした性状になっており、このことが本体と骨との結合「オッセオインテグレーション」を促進しています。
HAインプラント
【原産】アメリカ
【製造】Zimmer Dental社
【性状】オッセオタイト HA Implant Spline twist MP-1(通称カルシテックインプラント)
HAインプラントは、骨の硬さを選ばず埋入できる特徴を持つ世界でもセルフタップで埋入できる唯一のHAインプラントです。インプラントの表面に、ハイドロキシアパタイト(HA)を使用しているため、他のどのインプラントより顎の骨と結合しやすいといわれています。コーティング技術は、プラズマ溶接MP-1と呼ばれ、97%のHA結晶構造を有するため、コーティングの剥離や吸収の問題報告もほとんどありません。
カルシテックインプラントは「バイオインテグレーション」と呼ばれる結合様式で、他のインプラントと比べ骨の伝導性に非常に優れ、骨の状態が悪いところにでも使用可能。特に、抜歯即時埋入と呼ばれる、抜歯を行った当日に抜歯窩を利用してそこにインプラントを埋入してしまう方法は、カルシテックインプラントを使用することにより可能となります。この埋入方法は、痛みや腫れがほとんど出ないことが特徴です。スプラインMP-1の最も得意とする症例といえるでしょう。
インプラントとアバットメントの接合様式は、スプラインと呼ばれる独自の構造を有し、アバットメントの回転抑止やスクリューの弛み防止などにすばらしい能力を発揮し、多くのインプラントに起こるトラブルを防止します。状態が良ければ手術当日より仮歯が入れる事ができます。また、チタン製のインプラントより治癒期間が早いのも特徴です。
POI-EXインプラント
【原産】日本
【製造】京セラメディカルマテリアル社
【手術】主に1回法(2回法もある)
【性状】陽極酸化、HAコーディング
POIインプラントは、日本最大のインプラントメーカーであり、日本のインプラントシステムの中では最も歴史のあるものです。
アストラテックインプラント
【原産】スウェーデン
【製造】Astra Tech社
アストラテックインプラントは世界的な製薬・医療器具メーカーであるアストラゼネカ社のグループ企業、アストラテック社により開発されたインプラントです。世界第3位のシェアをもつ、比較的新しいシステムではありますが、ブローネマルクのシステムの複雑な面を改善し、ITIの利点を取り入れたシステムであるといわれています。
生体親和性に優れ、歯周病に対する抵抗力が高く、長期間安定して使用出来る素材である純チタンを用いた歯科用インプラントで、1985年から開発に取り組み、現在その研究開発力と長期安定性は世界中で高い評価を受けています。
アストラは、二酸化チタン(TiO2 )の粒子をフィクスチャー表面に吹き付けて表面をブラストすることにより、表面を均一な粗造面にして、骨組織との機械的な結合をより強固にするというものです。
ブローネマルク
【原産】スウェーデン
【製造】Nober Biocare社
【手術】2回法
ブローネマルクは、ブローネマルク博士の研究を元に開発された、40年の実績のある世界的に普及しているインプラントです。2回法で行うことが多く、治療期間が比較的長いのが特徴です。インプラント体が長く大きい傾向があるため、アジア人や日本人の治療には、骨の幅や厚さの関係から、扱える症例がやや限られる傾向があります。
ストローマン(ITI)
【原産】スイス
【製造】Strauman社
【手術】1回法
ストローマンは代表的な1回法のインプラントで、スイスのベルン大学とストローマン研究所との協力で開発、1974年に臨床応用された、歴史ある信頼性の高いインプラントです。骨結合が早く得やすい表面処理が、特徴の一つです。
ストローマンの最大の特徴は、研究に対する取り組みに特に力を入れている点で、ITI(International Team for oral Implantology・口腔インプラント学のための国際チーム)という、非営利の大規模な学術機関と密な連携体制にあります。そのため、ストローマン社のインプラントは長らく、ITIインプラントと呼ばれてきました。
研究にかける費用はインプラントメーカーの中で随一で、豊富なデータや研究結果に基づいた、信頼性の高いインプラントを作り続けています。ストローマンは、インプラント体が比較的小さめのため、日本人の顎に合いやすいシステムでもあります。
リプレイスセレクト
【原産】スウェーデン
【製造】Nober Biocare社
【手術】1回法
リプレイスセレクトは元々、アメリカの「ステリオス」というインプラントでしたが、数年前、ノーベルバイオケア社が吸収合併し、リプレイスセレクトという名前に変わりました。
同社のブローネマルクは本体が長めのため、骨の厚みや高さが少ないケースでは使用が難しい傾向がありましたが、リプレイスセレクトは短めになっているため、骨の厚みや高さが少ないことが多い日本人に向いているインプラントであると言えます。リプレイスセレクトはブローネマルクの器材が使用できるため、ブローネマルクからリプレイスセレクトに乗り換える歯科医院も増加してきています。
アンキロス
【原産】ドイツ
【製造】Degussa社
【手術】1回法
アンキロスは1985年に、フランクフルト大学のG.H.Nentwig教授と、チューリッヒ大学のW.Moser工学博士により開発されたトシステムです。アンキロスの表面はサンドブラスト処理で、上部構造に負荷がかかる段階での骨吸収を減少させるといわれています。 インプラント周囲の組織の状態の安定性が高いシステムであるといわれています。
カルシテックインプラント
【原産】アメリカ
【製造】Calcitek社
【手術】2回法
【性状】HAコーティング
カルシテックインプラントはアメリカのカルシテック社が製造している、HAコーティングのインプラントです。HAとは「ハイドロキシアパタイト」の略で、HAは骨の無機質の大部分を占めるものです。インプラントの表面をHAでコーティングすることによって、インプラントと骨の結合「オッセオインテグレーション」を促進しようというのが、HAコーティングの狙いです。
カルシテックのHAコーティング技術はMP-1と呼ばれ、97%のHA結晶構造を有しています。その結果、HAコーティングの問題点であった剥離や吸収などの問題がほとんど報告されていません。 また、スレッドタイプではHAコーテッドインプラントで唯一、セルフタップ様式です。
プラトン(プラトンバイオ)インプラント
【原産】日本
【製造】PLATON社
【手術】主に2回法(1回法もある)
【性状】ブラスティング+酸エッチング処理、HAコーティング
プラトンインプラントは日本の歯科医師、企業、大学などが協力して開発した、日本製のインプラントシステムです。表面性状はブラスティング+酸エッチング処理で、均一な凹凸と安定した酸化膜を形成し、オッセオインテグレーションを促進させます。
最近ではインプラント体表面にHAコーティングを施した、「プラトンバイオインプラント」が開発されました。
バイコンインプラント
【原産】アメリカ
【製造】BICON社
【手術】1回法、2回法、イミディエート
【性状】ノンコーティング、TPS、HAコーティング
バイコンインプラントは20年の臨床実績と35年の研究開発の実績を持つ、歴史のあるインプラントシステムです。細菌の侵入を防ぐと言われている1.5°ロッキングテーパーや、360゜どの方向にも回転させて位置決めできるアバットメント、セメントやスクリューを必要としないバイコンインテグレーテッドアバットメントクラウンなど、バイコン独自のシステムが多数取り入れられています。
バイコンインプラントは他のインプラントに比べ、非常に選択肢の多いインプラントシステムであると言えるでしょう。
AQBインプラント
【原産】日本
【製造】アドバンス社
【手術】1回法
【性状】HAコーティング
AQBインプラントはアドバンス社が製造している、国産のインプラントです。手術は1回法で治療期間は約2ヶ月と、患者さまにとって負担が少ないことが特徴のインプラントシステムです。
IATインプラント
【原産】日本
【製造】石福金属興業社
【手術】2回法
【性状】放電加工
IATインプラントは石福金属興業社が製造している国産インプラントです。IATインプラントに特に目新しい部分はありませんが、逆にこれまで確立された基本的なインプラントシステムを踏襲しているので、安心感があるといった見方も出来ます。
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